【新唐人2011年3月26日付ニュース】2004年、中国発展改革委員会はサルウィン川の上流―怒江のダム計画を提出。しかし反対意見が多く、中止になりました。今年初め、再び怒江のダム計画がささやかれましたが、多くの専門家は疑問を投げかけます。
怒江は中国西南部で唯一ダムのない川で、流域は原始的な生態系を保っています。チベット高原に源を有する金沙江、瀾滄江と共に、雲南省西北部の横断山脈の谷に入り、“三江併流”としてユネスコの世界遺産に登録されています。
エネルギー局が持ち出した怒江のダム計画に、定年退職した専門家が動き出しました。今年初め、77歳の徐道一さんと78歳の孫文鵬さんは怒江に実地調査に行きました。独特で複雑な地質環境、そのうえ地震などの災害が多い怒江流域にダムを建設するのはリスクが大きいと指摘します。
四川地鉱局の範暁さんは新唐人の取材にこういいます。
四川地鉱局のエンジニア 範暁さん:「怒江はインド洋プレートとユーラシアプレートの重要な過渡地域、今回の東日本大地震はユーラシアプレートと太平洋プレートの重なる部分で発生しましたが。怒江も同じく大陸プレートが重なる地帯に位置しています」
研究によると、怒江流域には幅100m以上の断裂帯が2~3箇所、小さな断裂帯は30数箇所あります。全体的には400~1000mの断裂帯があります。孫さんは、河をせき止めてダムを造るとなると、断裂帯を跨ぐことは避けられないので、非常に危険だと警告します。
これの意見に賛同する専門家も多いですが、“流域で建設条件の良いところにダムを作る”、“ダムを強固に造れば問題ない”という専門家もいます。これに対して範さんは、“ダムを造る地帯とダム自体の強固さだけで問題を捕らえてはならない。怒江流域はすでに地震活発期に入っている”と指摘します。
四川地鉱局のエンジニア 範暁さん:「怒江は雲南西部の地震帯に属し、震度7以上の地震の多発地域です。この前の雲南盈江地震も大盈江断裂帯の上で発生したもので、雲南西部全体は 怒江断裂帯も含めて、地震活発地帯に属します」
徐さんと孫さんの分析も同じです。もしここにダムを造れば、地震が起きたとき、上流のダムの決壊で下流ダムの連鎖決壊が起きます。数十億立方メートルの土石流が、険しい斜面から一斉に怒江に流れてくると、下流地域は完全に飲み込まれるといいます。
また範さんは、強固なダムの建設が可能だとしても、実際に災害が起きたとき、その破壊力は強烈だといいます。
四川地鉱局のエンジニア 範暁さん:「この地域全体に大地震が発生すると高山と険しい谷が多いので、ダムが決壊しなくても、大地震による二次災害 例えば、崖崩れ 地すべり 土石流なども、重大な損害をもたらします」
たとえこれらの災害を考慮に入れないにしても、ダム自体が周辺斜面の地すべりを誘発することもあります。また、地すべりによりダムに大波が発生し、ダムの危険を招くこともあります。
新唐人テレビがお送りしました。